「4原色」の話、工学的考察その2

この続きです。

受取側は、この1「白黒」信号と2「色差」信号から「3原色」信号を回復して、映像なり画像なりにします。

これは数学的な変換なので、どのような1「白黒」信号と2「色差」信号でもとりあえず「3原色」は出来てしまいます。

数学的な話なら、加減算による変換は逆の加減算によって回復可能です。2成分以上の変換の場合は、それぞれ行列演算、逆行列演算で行います。数学的な厳密さは勘弁してねm(__)m

そして、意味がある成分数は変えることが出来ません。どういうことかと言うと、例えば3成分を行列演算で4成分にすることが出来ますが、これで出来た4成分は3成分にしか戻せないのです。

なので、撮影が「3原色」で行われたのなら、受取側は「3原色」しか手に入りません。そろそろ本題になりましたが「4原色」は数学的にはあり得ないのです。

得られた「3原色」から「4色」を作り出すことは出来ますよ。でも、無理やりです。「原色」とは言えないんです。

ではシャープは嘘つきなのか、というとそうでは無いのです。実は、今回の「4原色」テレビの発表で、やっぱり出てきたか、という感じを持っていたんです。

光から撮影によって「3原色」信号が作られ、変換され伝送され、受取側で「3原色」に復号されて、光に変換されるわけですが...

要は、この入力光で「ヒト」の目が感じる視覚信号と出力光で「ヒト」の目が感じる視覚信号が同じにならなければならないのですが...

ここからは説明が難しいのですが、かめ吉に筆力が無くて(ーー;)

例えば、単色「黄」が入力したとして、それで「赤」信号と「緑」信号が作られるわけですが、これにより受取側で「赤」光と「緑」光が作られます。

ここで、入力感度はそれぞれの「色」の波長帯が「ヒト」と同じような幅を持つのが理想です。そして出力は単色であるべきです。こうしないと「ヒト」の視覚信号は回復出来ません。

これが難しいのです。シャープが「黄」を加えたことから類推すると、撮像管の「黄」の入力感度が「ヒト」の目に比較して低いのでしょう。

「ヒト」の「黄」の感度は良いと言われています。「黄」は明るく感じますよね。逆に「青」は鈍いそうです。なのでシャープが次の「原色」として「黄」を選択したのはなるほどと思いました。

次は、「緑」と「青」の中間の「水色」、そして「青」と「赤」の「紫」が加わる「多原色」競争が起こるかもしれないですね(^^;)